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私は、いま、思い人へ告白をする。 「――の事が好きなんだ」 「ごめんなさい、――のことは好きになれません。……――がそんな人だとは思わなかったです」 私の言の葉は思い人の心を揺り動かす力もなく、無情にも振り払われた。 「では」 私の前から去っていく思い人。 「――待って!!」 私らしくもない大声を上げても――思い人は振り返ることはなかった。 その場に立ち尽くす。 ぽっかりと、私の心に穴が開いた感覚。 足下が無くなり、ただひたすらに墜ちていく感覚。 ――暗転する世界。 ―――― ――目が覚めた。まだ外は薄暗いし、目覚まし時計も鳴ってない。 手探りで携帯を手に取り、携帯を開いた。 ……まぶしい。反射的に目を閉じてしまった。 うっすらと目を開けて、携帯の液晶を見た。 決戦の日。朝の6時。 決して良い目覚めではない。 そりゃ、あんな夢を見れば誰だって。 「うーん……」 約束の時間までだいぶあるから二度寝に入ろうかと悩んだけど……。 寝ぼけ眼の頭で、私の大好きな人から送られてきたメールを開く。朝起きる度に開いて、見て、閉じて。 「――」 送り主の名前を漏らした。 私に後輩が出来るとは思わなかった。 小学生、中学生と部活に入ってはいたけど、後輩とまで積極的に関わってこなかったから。 律と一緒にいる時間のほうが長かったし、いまもそう。 それに私は、本来人から尊敬される人間ではない。自分自身が一番よく知っている。 私が恥ずかしがり屋で引っ込み思案という性格のせいで、みんなにはたくさん迷惑をかけたし、何より律にはものすごい勢いで迷惑をかけてたし。よく『かっこいい』とかファンクラブの子に言われたりするけど、これも自分に自信を付けるためとか、恥ずかしがり屋という気質を直すとかそんな目的で始めた口調や仕草で――結局は自分を“隠す”ための手段でしかなかった。 根本は変わっていない、小さな女のコ。 頬を赤めてうつむくことしか出来ない、私。 まさに歌詞の通り。 それでも、そんな私を見てくれた。 私の――私の演ずる『先輩』がどんな痴態を見せても、私のことを尊敬していてくれていた。 だからこそ、私も期待に応えられるように自分を変えて行けたのだと思う。……少しは。 お互いに良いライバル(?)だったのかも。 ライバルというのはおかしいけど、お互いがお互いを高め合う良い関係。 気の置けない親友の律とは違う、また別の関係。 その関係が――崩れた。いや、いつの間にか超えていたと言った方が良いのかも知れない。 それに気づいたのは、去年の春休み。 ちょっと顔を合わせなかっただけで不安になって、春休みの宿題にも手が着かなくなって……。 彼女の顔を見たいがために、彼女の家まで遊びに行ったことがある。 彼女の顔を見た瞬間、私は悟った。 私は、恋をしているのだと。 ―――― 「澪? どうしたんだよ。突然話があるって」 私は部室集合の2時間も前――8時過ぎたぐらいに律の家に特攻した。もちろん、ギリギリにならないと起きてこない律が、こんな時間に起きているはずもなく、パジャマ姿で出てきた。起きたばかりでまだ頭が回っていないのか、まぶたが半開き程度だった。 「なあ、律、私のこと好きか?」 「ぶっ!! なんだよ突然」 ベットの上に腰掛けて――でも、今にも倒れ込んで寝そうになっていた律は、私の質問で完全に目が覚めたようだった。 「なあ、律」 「好きだよ! 好きだけど――」 もちろん、この後の解は分かっている。 「恋愛感情じゃない」 「だな」 律は、あぐらの体制を作りながら言った。 「普通はそうだよな……」 自然とため息が出てしまう。 「なんだよ。あたしに気があるのか」 「ない。親友が一番心地良い関係だと思うんだ」 「あたしも今の関係が一番いい」 「そう、そうだよな……」 次ぐ言葉に戸惑ってると、律が助け船を出してくれた。 「なんだよ。何が言いたいんだ?」 「……言うっていうか、相談」 そこまで言って、口が止まる。金魚のように何度か口をぱくぱくさせて……口が開いても、喉から声が出てこない。 バスケで激しく運動している時のように、心拍数が急に上がっていく。 「? 澪?」 「ごめん、ちょっと待って」 名前が出てこない。出したいんだけど、出てこない――! 数分、もしかしたら数十分黙っていたかも知れないけど、律は根気よく待っていてくれた。 「あ……梓、のこと、なんだ、けど」 「梓がどうしたんだ?」 「す……好き……みたいなんだ」 「それは、恋愛感情的な意味でか?」 「たぶん」 こくり、とうなずいた。 「私も分からないんだ。近くにいたいのに、近くにいると胸が痛むんだ」 律はしばらく黙っていた。 「そりゃあ、重傷だな」 「どうすればいいのか、分からないんだ」 自分でもびっくりするほどか細い声だった。 「どうするも何も……」 律は悩んでいる様だったが――。 「素直に言っちゃえ。当たって砕けろ。ダメだったらあたしの胸のなかで泣け」 そう、そうすればいい。それは分かってる。 「……ない胸張るな……」 こう、軽口でも言わないと涙が出てきてしまう……。 「ぐはっ。でもな――」 「自分に素直になれよ。先輩ぶってるのも疲れるんだろ?」 「!」 ばれていた。私の驚いた表情をみて、 「あたしが気づいていないとでも思ったのか? あと、澪が3年に上がったぐらいから、梓に対する反応がなんかよそよそしいっていうか、なにかおかしいな思ってたんだけど――今日の話で納得した」 「!!」 そこまで――。 「澪、私と何年一緒にいるんだよ」 「……9年ぐらい」 「もうちょっと長いと思うけどな……でも、まあそんだけいれば分かるさ」 本当、自分は涙もろいと思う。もう涙が滲み出してきた。 「律」 「なんだ?」 「本当は怒ったりしてない?」 「なんでさ」 「2年の時、和と仲良くしてたことに嫉妬してたんだろ? そのとき、気づけなかった私がバカだったんだけどさ」 「……気づいてたのか」 「何年一緒にいると思ってるんだ?」 さっきの律の言葉を蒸し返してみる。すると、律の表情が軟化して、 「……バカはあたしだ。澪は悪くない」 「じゃあ、梓の事は?」 「全然。あたしに一番に相談してくれてむしろうれしかった」 その表情に、嘘は描かれていなかった。 本当に、良い親友を持ったのだと思う。 「律……ありがと」 「いいって気にすんなって。今度なんかおごってくれればそれでいいから、な」 「……うん」 ―――― その後、律がうとうとし出して――時間になるまではいいかな、と思って起こさずにいたら、私もうとうとしてしまって、起きたら10時ちょっと前。 律の家を出たのが10時ぐらい。 でも、まあ――。今日ぐらいは良いよね。 登校途中、律の携帯にメールが入ってきて……メールを開いてニヤニヤしていた。 「ふふっ」 突然、笑い出す。 「? 誰から?」 「ひ・み・つ!」 「?」 「澪ちゃんよかったわねー^^」 「なんだよ突然」 たまに律はよく分からないことをいう。でも、何か私にとって善いことがあった……んだと思うよ。たぶん。 「ふーん……そうかーあz」 と、口を思いっきり押さえてる。 「?」 「あはははなんでもないなんでもない! さっ、早くいこ!」 と言うなり、私の手を引いて走り出した。 「ちょ、ちょっと律!」 「さーはやく学校行こうぜ!」 「ちーっす!!!!」「おはよう」 いつも通り、でも、最後の部活。高校生としても、“私”としても――梓とも。 律がドアをやかましく開けたのも、さほど気にはならない。だって、扉を開けたら梓がいて、私の心は梓しか見てなかったから。 「梓、久しぶり。元気にしてた?」 そう、普通に話しかければいいんだ。 「はい!」 「いつもの事ながらこの扱いの差は……」 「ごめんな遅刻して。バカ律が――」 「へぇー? そんなこと言うんだ。言っちゃうぞー?」 「ごめんなさい律様それだけは言わないでください」 「?」 梓がぽかーんとしてるけど、そういうこともあるんだよ。たまには。 平沢姉妹はだいぶ遅くきた。11時ぐらいか。 唯がなかなか起きなくて、ご飯食べさせたり制服着せていたらこんな時間になっていたらしい。 別に制服で来なくても良かったんだけど、ね。せっかくだし。 私物――主に、唯と律の――をまとめて、卒業前に大掃除はしたけど、もう一度けじめをつけるために簡単に掃除して。 お茶を飲んで、たわいもない話をして。 お昼も過ぎ、お腹もすいたので近くのMAXバーガーで軽くお昼ご飯を食べることにした。冬は太りやすいから軽く、ね。 店に入って30分ぐらいで解散することに。 自分の分の片付けを手早くやって、店の外でみんなを待つ。 このタイミングを逃したら、もう期はない。深呼吸をして、心を落ち着かせる。 ――と、梓が片付けを終えて店の外へ出てきたみたいだ。 「梓」「澪先輩」 ……被った。 「あ、ああああ梓から」 「い、いいいえ澪先輩から」 「じゃあ……今日、私のうちに来ないかって言おうとしたんだけど」 「あ、私も澪先輩のおうちに行きたいなぁーって思ってたんですけど」 「「……あはは」」 二人して小さく笑った。 「じゃあ、この後澪先輩の家に――」 「あっずにゃーん!!」 唐突に、唯が梓に抱きついた。 「人が話してるときに抱きつかないでください!! っていうかせめて荷物を置いてください! 痛いです!!」 「そんなこといわないでよー」 もちろん、いつもの光景にはいつもの光景だ。でも、梓は――。 ―――― 「じゃあねー!! あずにゃーん!! また会いに行くよ-!」 しばらく抱きついてたけど「あずにゃん成分」を十二分に補充できたのか、梓から離れた。 「唯先輩、一人暮らし気をつけてくださいね」 「ありがとー!」 「じゃあ、また4月に!」 「またね、憂」 「ごめん今日ちょっと用事あるんだ。ちょっと楽器店に」 律。 気を遣ってくれてありがとう。 「あ、じゃあ私もいく」 ……ムギも? っていうか両手の荷物、律のだよな……。持たされてるのか。おつかれ……。 「そうか。またな律。ムギも」 「律先輩、ムギ先輩おつかれさまです」 (がんばれよ) 去り際、律の声が聞こえた。 「「…………」」 梓と二人っきりで並んで歩いていることと、家に帰ってからどうするかのシミュレートで、頭がいっぱい。 喋る余裕がない。 「澪先輩」 「………」 「? 澪先輩?」 「……え? ごめん、なんだ?」 ごめん、梓、気を遣わせちゃって。 「先輩って、大学生になって一人暮らしするんですか?」 「するよ。今月末には引っ越し」 「引っ越し、しちゃうんですね」 「だから、今日にこk――はっ。なんでもないなんでも!!」 「?」 危なかった。 まだ心の準備が出来てないから――!! ……勢いで言っちゃったほうが、楽だったのか……? 「洗濯機と冷蔵庫は知り合いからもらえることになったけど、調理道具とか、いろいろ準備する物が多くて大変なんだ」 「自炊とか大変そうですね」 「そうなんだよ。でもさ、唯が一人暮らしする思うと、いろいろ悩んでいたのがどうでも良くなっちゃってさ」 「唯先輩、朝起きれなそうですよね」 「そうそう」 私の家に帰るまで、たわいもない話を続けた。 本当はこのままの関係ならば、私も梓も傷つかなくて済む。 でも、私と梓の関係が崩壊するかもしれないけど、もう一歩踏み込んだ関係になりたい。 : : : 気がつけば、もう、お家。 「ママただいまー」 「お、お邪魔します!」 「お帰り澪ちゃん。あら、お友達?」 「初めまして。中野梓といいます。いつも澪先輩にはお世話になってます」 「梓ちゃんね。こちらこそ澪がお世話になっております」 「ママ!」 私の心の支え的な意味では本当の事だけど。 「あ、そうだ。澪ちゃん、梓ちゃん、何か飲み物欲しい? 甘い物もあるし」 「私持ってくよ。梓、上でちょっと待ってて」 「はい」 ―――― 梓を先に2階に行かせたのは、甘いものを取りに行くだけじゃなくて、自分の心を落ち着かせるための時間が欲しかったからというのもある。……どちらかと言えば、落ち着かせるためのほうが大きい。 ドアには「MIO」のプレートもあるから、私の部屋はわかるはず。 キッチンで甘いもの――ケーキと、紅茶とクッキー――を、ママがお盆に乗っけて、準備してくれていた。 「ねぇ、あの子が澪ちゃんが良く言ってた梓ちゃんよね?」 「そうだよ」 「なんかステージで見るより、ちっちゃくてかわいい子ね」 「でしょ! ギターうまいし」 まだ彼女じゃないけど自分の彼女をほめて貰っているようで、テンションが上がった。 お盆を受け取ろうとしたら、ママが真剣な表情で私の名前を呼んだ。 「澪ちゃん」 「なに? ママ?」 「あんまり思い込んじゃダメよ。何があっても、ママは澪ちゃんの味方だから」 何のことに関してなのかは、全く言ってない。 でも、ママは分かっているんだと思う。私の胸の内を。 「……ありがとう、ママ」 「行ってらっしゃい」 「うん!」 本当に、ありがとう。ママ。 ママからお盆を受け取って、梓の待つ私の部屋に向かう。 お盆を持って、階段の一段目に足を掛けようとしたら――体が震えてきた。 今まで一時の気の迷いだと思って、1年も経てば薄れて消えてしまうと思ったこの“想い”は、消えるどころか1年間を経てより増幅されて、今、私の胸の中に渦巻いている。その想いを今日伝えると決心した。 決心したんだけど、どうしても震えてくる。 その想いが拒絶されてしまったら――。 朝の夢が正夢になったら、私はどうすれば良いんだろう。 きっと、壊れてしまう。 壊れてしまったら? それでも――私は、伝えたい。 ママも、律も、私を支えてくれた。励ましてくれた。応援してくれた。 一歩、踏み出すことを恐れていては、何も変わらないんだ。 だから、私は梓に伝える。 何も『先輩面』をすることはないんだ。 本当の私を、伝えるだけなんだから! 階段の1段目を、しっかりと踏み締めた。 「おまたせ」 ドアノブをお盆で器用に開け、足で何とか開ける。 「あ、持ちますよ」 「大丈夫。座ってて」 ずぼら全開。足で適当に扉を閉める。両手がふさがってるなら普通にやるよね? とりあえず机にお盆を置いて、梓と向かい合って座る。 2人向かい合って、微妙な時間が過ぎる。1分か、2分か、そう長い時間ではなかったけど。 「あ、あの……!」 「梓」 梓の言葉を遮っちゃったけど、もう止められない。 「は、はい!」 「今から話すことは、私ではない誰かの話だからな」 「え?」 「私ではない、誰かの高校生活の話」 直接伝えられないから、詩の力を借りる。 物語の主人公さん、ちょっとだけ、私に勇気をください。 ――とある高校に入学した一人の女の子がいました。 その子は、とても人見知りで、恥ずかしがり屋でした。 2 目立つことが嫌いで、極力目立たないようにして高校生活を送ろうと決心していました。 文芸部に入って、放課後は詩を書いていようと思っていました。 ですが、親友に無理矢理軽音部に入れさせられ、ベースをやることになってしまいました。 さらに文化祭ではボーカルもやって、とても恥ずかしかったけれど、みんなのおかげで無事に終わることが出来ました。 なんだかんだ言って、その女の子はとても楽しい日々を送っていました。 ――2年に上がり、その子には後輩が出来ました。同じパートではないけど、バンドの仲間が増えてとてもうれしかったようです。 小さな女のコでした。 でも、小さな女のコのギターは、バンドのみんなを驚かせるほど上手だったのです。 「私も負けないように、がんばって練習しよう!」 そう、心に決めた日でした。 ――かわいい後輩でした。 その女の子は、人見知りで恥ずかしがり屋を隠すため『格好良い人』を演じているだけなのに、尊敬されるような人柄ではないのに、後輩の小さな女のコは慕ってくれたのです。 精一杯、先輩らしくしなくちゃ。 せめて、みんなと打ち解けるまでは。 打ち解けたあとは――。 ――もちろん、みんなとはすぐに打ち解ける事が出来ました。みんな優しいから。心があたたかいから。 「私の役割はここまで。みんなと打ち解けたから」 そう、思っていたのだけど。 モヤモヤとした気持ちを持っていたのです。 もっと、私を見てほしい。もっと、一緒に話したい。 ――――もう泣き出しそう……。 ――――もうちょっとだけ、私を支えてください。 ――3年生になりました。 小さな女のコも2年生に上がってきました。 この頃から極力、小さな女のコとは関わらないようにしました。 何故か分からないけど、胸が苦しくなってしまうのです。 話したい。でも――。 何故か、 胸の中、奥底がちくりと痛んで。 ――恥ずかしがり屋な女の子は、大学受験を控えていました。 部活のみんなと一緒の大学に入るため、一生懸命勉強しました。 でも、モヤモヤが取れなくて、勉強に差し支えてしまう。 だから、人見知りな女の子は、自分に一つ約束をしました。 『大学受験が終わったら、小さな女のコに、私の全てを伝えよう』と。 ――無事、大学に合格して、卒業式も迎えました。 でも、私は想いを伝えられずにいました。 ―――――ああ、もう。結局、“私”が混ざって来ちゃった。 卒業式が終わって、私は、気づいてしまった。 私は、小さな女のコに何を残せたの? 先輩後輩という関係だけ? もっと、何か残してあげたかったのに。 そんな私を好きになってくれるのか? それでも、自分の想いを伝えたい。 ――――勇気を分けてくれた。 ――――なんとか、私の想いを伝えられそう。 一緒にもっと話をしたいんだ。 一緒に買いもの行きたいんだ。 一緒に甘いもの食べたいんだ。 一緒に――。 ずっと 一緒に いたいんだ ――――ありがとう。 ――――今までの“私”。 梓、私は――梓の事が大好き。誰よりも、この世界で一番、梓のことが。 頼りない先輩だったかもしれないけど、こんな私でも良ければ――。 「澪先輩!!!」 「!」 「なんでそんなに自分を卑下するんですか!」 「私だって、澪先輩のことが大好きです! ずっと一緒にいたいです!」 「……えっ?」 空気の塊が、喉を通った。 「入ったばっかりの私を支えてくれたのは澪先輩じゃないですか! 今でも感謝してます! 澪先輩がいなかったら、私、たぶん辞めてました。 夏の合宿のときだって、初めての学祭のときだって、いつも見てくれていたのは知ってます! 澪先輩と付き合い始めて、部活の空気が悪くなったりしたらと思うと怖かったし、唯先輩と仲が悪くなったり、澪先輩と律先輩の仲が悪くなっちゃったりしたらって思って。 でも、一番怖かったのは……澪先輩に嫌われちゃうと思うと、私……私……!」 「あ……ずさ……」 ――私のことを、 「だから、そんなこと言わないでください…。澪先輩はあこがれの先輩で――一番好きな人です!」 ――愛してくれるの? 梓。 私たちは、なんて遠回りをしていたんだろう。 私たちは、なんて“片思いな両思い”をしていたんだろう。 目をぎゅっと閉じ、口を堅く結んでる梓を見て、自然と抱きしめたいと思った。 ゆっくりと立ち上がり、梓の小さな体を優しく、でも力強く抱きしめた。 梓の背中に右腕を回して、頭を左腕で包む。 「!」 「初めて、だね」 2年間、一緒にいたのに。 「はい……っ」 梓の身体ってこんなに小さかったんだ。 こんな小さな身体に、あれだけの想いが詰まっていたんだ。 ちゃんと受け止めきれるか不安だけど、私は梓の想いを受け止める。 だって、私も梓の事が大好きだから。 私の腕の中で、梓が堰を切ったように泣き出して――。 最初は、頭を優しく撫でていたけど、私も声を出して泣き出して――。 梓が落ち着いてきたので、ちょっと腕を外して顔をのぞき込んだ。 「梓、ひどい顔してるぞ」 目は赤くなって、涙の跡がたくさん。 「澪先輩だって、相当ひどい顔してますよ」 たぶん、私も梓と同じ顔なんだろう。 「梓、目を閉じて」 「はい」 恥ずかしい? 梓の前で恥ずかしいもなにもあるか。 恋人の前で、何を気取る必要があるんだ。 梓の首に腕を回して、私も目を閉じて、そっと唇を重ねた。 初めてのキスは――とっても、あまかった。 「私たち、似たもの同士ですね」 「え?」 「まじめで、変なところで意地張って、見栄張って、気を遣ったけどなんかずれてたり、自分に素直になれなかったり」 「恥ずかしがり屋で、人と積極的に関われなくて、だろ?」 「私、澪先輩ほどの恥ずかしがりじゃないですよ?」 「言うようになったな」 梓の額をこづく。もちろんそんな力は入れてないけど。 「梓」 「はい」 「絶対に梓のこと離さないからな」 「私も、澪先輩と一緒にいますから。絶対に離れませんから」 梓になら、私の唇、奪われてもいい。 むしろ、奪いに来て欲しいな。 そう思っていたら――。 ――― おまけ3。 「あ、そうだ。梓にこれを」 「?」 立ち上がって、制服を掛けているハンガーに一緒に掛けてある、一本のタイを手に取る。 「! 澪先輩のタイ……」 「もう制服を着ることないし、梓にあげる。お守り代わりに、ね」 青色のタイ。梓の学年は赤色だから私のをつけて登校することは出来ないだろうけど、お守り代わりになら。 「澪先輩……大切にします! 宝物にします!!」 来年からは梓と離ればなれになってしまうから、私の代わりに。 「そんな喜ぶとは思ってなかったけど……」 ちょっと苦笑する。本当は指輪とか、名前を彫り込んでもらって交換したいところだけど。 「澪先輩のプレゼントなら何でもうれしいです」 と、満面の笑みで返してくれた。 そう言ってもらえると、こっちもうれしくなっちゃう。 4月になったら、今までのように毎日顔を合わせることは出来なくなってしまう。 でも、梓と私は繋がっている。強い想いで繋がっている。 だから、寂しくはない――ほんとは、ちょっと寂しいけど。 それは、きっと梓も一緒だ。 だから、3年間私と一緒に高校生活を送ったタイを贈ることにした。 世界に一つだけの、思い出の品。 だから、本当に大切な人に渡すことにしたんだ――。
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澪梓「入れ替わり」 例えばの話。 自分の恋は片想いでその想う相手(以後Aとする)は私に振り向いてくれない。 同じようにAの恋も片想いで想う相手(以後Bとする)は振り向いてくれない。 一方通行の恋。 その場合、自分の恋はAが振り向いてくれるかも知れない。 Bの想う相手が振り向いてくれるかも知れない。 逆に自分とAの恋は永遠に叶わない。そういった場合も現れる。 意外にも想われてる相手も自ら想う相手を想わなくする。いわゆるフラグ破壊。 結局のところ、恋する者は相手を惹こうと媚び、相手に弄ばれてサヨナラ。 相手を手玉に取って手に入れる。そのどちらかが普通なのではないか? 音楽室 唯「あ~ずにゃん」 梓「辞めてください!唯先輩!」 律「頼むからこれ以上音楽室を暑くしないでくれ」 唯「え~だってあずにゃんが可愛いのがいけないんだよ~」 梓「ちょっと暑いですから・・・ムギ先輩助けてください!」 紬「唯ちゃん、美味しいケーキ持ってきたけど食べないかしら?」 唯「食べる~♪」 澪「・・・・」 さっきの例え話に代入してみるとする。 自分を澪(私)と置き換える。Aを唯。そしてBを梓。 私は唯が好きだが、唯は梓か好きだ。 だから今のままでは私の想いは唯には伝わらない。 もしかしたら唯は私に振り向いてくれるかも知れない。 でも、一方通行の恋に都合が良い事なんてあり得ない。 律「もう時間か。帰ろっか」 梓「明日も来るんですか?」 律「梓は1人で悲しいだろうしな」 梓「悲しくないです!」 唯「そんな冷たい事言わないでよあずにゃ~ん」 律「頼むから唯、唯が梓に抱き付くと地球上の温度が2度上がるんだ」 澪「なわけあるか!」 紬「うふふふ」 私は律以外のみんなには優しい。言い替えれば律にしか本心を出さない。 けれど、恋は自分しか味方がいない。 理由とするなら単純に好きな人を他の人に言うのが恥ずかしい。 ただ、それは冗談でバらす酷い人もいる。 逆に好きな人をオープンにしてアピールする人もいる。オープンな人は嫌われがちが多い。 どういった事にしろ私には恥ずかしくて無理な話である。 夜・澪の家 澪「もし、あなたが居ないと私は・・・」 ヴーヴー 澪「メールか。誰からだ?梓?」 転機とは本当に突然訪れる。それがいつになるかわからない。 けど誰もが一回は経験しているのではないかと思う。 澪「明日の昼休み1人で音楽室に来てくれ・・か」 澪「余程大事な話があるんだろうか」 澪「良いよ・・と」 時期としては私の高校生活は幕を閉じようとしている。 みんな同じ大学に受かりまたみんなで通う。 その前に卒業式もある3月が今の時期だ。 音楽室にまったりしてたのは後輩である梓が悲しまないためと4人で決めた事だ。 澪「もしかして秘密のプレゼントかも」 次の日・音楽室 ガチャ 澪「梓」 誰もいない。来るのが早すぎた。いや、準備をしているのかも知れない。 椅子に腰かけて数分後に梓はやって来た。 梓「わざわざすみません。呼び出した割には遅刻してしまって・・・」 澪「構わないよ。それで話って?」 梓「単刀直入にして聞きます。澪先輩は唯先輩の事が好きですね?」 澪「・・・・・何でその事を?」 私の隠し方が下手なのか?一発で当てるなんて思っても見なかったからだ。 梓「唯先輩が私に抱き付いてきてるとき澪先輩に助けを求めようとすると、 澪先輩とても羨ましい顔してますよ」 梓の言っている事は100%当たっている。 私と梓は髪の色と長さならそっくりである。同じ黒い髪。同じ長い髪。 それでも私には抱き付いてこない。 梓にばっか抱き付く唯。それを私は嫉妬していた。 澪「・・梓にはお見通しか。誰にも秘密にしてたんだけどな」 梓「すみません。ですが、その事で話があるんです」 そう言うと梓は音楽室のドアを開け、外に待っていた人を招き入れた。 それは唯だった。思わず私は席を立ってしまった。 梓「あ。すみません。サプライズが思ったより強すぎましたか」 ?「すみません。澪さん元の姿にしますね」 そう言って唯だった子は髪止めを外し、リボンで小さなポニーテールを作った。 彼女は憂ちゃんだった。私はまだ頭がよく働かずにいた。 梓「紹介しますね。私の恋人の憂です」 憂「憂です。改めてよろしくお願いします」 丁寧にお辞儀する。姉の良い部分を吸収したかのような子。 または姉にも良い部分があるがそれはマイペースな部分。 逆に妹が全ての家事をこなす事が出来る部分。 遺伝は専門外だが、少なくとも姉よりは何でも出来る子だった。 梓「私と憂は恋人同士なんです。ですから唯先輩は私の事好きなんでしょうけど、 その気持ちには答えられません」 澪「それで、私にどうしろと言うんだ?」 梓「実は卒業式の日に唯先輩に呼び出されてるんですよ。ほら」 携帯を私に見せる。 卒業式終わって軽音部のみんなと色々楽しんだら夜の7時に音楽室に来てください。 待ってるから・・・か。 唯にしてはえらく真面目なメールだ。普段は随分適当な内容なのに・・・ 澪「この時に私に告白しろとでも?」 梓「はい。すみませんが」 澪「それじゃあ私が振られるだけじゃないか」 梓「まあ、話はまだ続きますから聞いてください」 梓「まず、澪先輩は唯先輩に7時までに告白してください。 そこでOKだったらそのまま付き合えば良いです。 ですが、振られたらめげずに唯先輩の後を追いかけてください。 音楽室で私と憂で唯先輩を振って出ていきますから唯先輩を慰めてください」 梓の計画は梓と憂ちゃんだけ綺麗なままの作戦だった。 1回は私と唯は涙を出すほど悲しい経験をするとなると切ない作戦だ。 梓と憂ちゃんは期待不安半々の唯に付き合いました。 なんて言う勇気が無かったらしくそこで私を目に付けたって事。 結局、私は梓達の作戦に乗った。いや、手を組んだと言うべきか。 私は唯をものとして欲しいって感じに浸ったがせっかく2人が協力してくれる。 だから感謝をするべきだ。そう私は思って梓達と別れた。 基本的に午後の授業は3年生のこの時期にはほとんどない。 そのため、一旦帰って梓のために放課後に戻ってきてる。 最近はそんな繰り返し。それでもそのループの終わりは近い。 放課後 律「明日卒業式か」 紬「なんかあっという間だったわね」 澪「練習よりティータイムの方が長かった気がする」 唯「気にしない気にしない♪それよりあずにゃんは私達が居なくなっちゃって 悲しくなるんじゃないのかな?」 梓「そんな事はないです!・・・っていうのは嘘で寂しいですね」 唯「やっぱりあずにゃんは寂しがり屋さんだね~」 唯は相変わらず梓に抱き付く。 みんなはこれがお決まりだと思っているが、梓からすると本当に辞めて欲しいのだろう。 それは本心で表では嫌でも否定しない仲の良い先輩後輩を演じている。 いや、演じていると言うより友達というのだろう。 しかし、私も酷いともまた卑下する。 好きな人が傷付くと言うのに慰め役を買って出たと言う。 だから午後の間、ずっとその事が頭の中を駆け巡っていた。 だからと言って私は1番に最初に傷付くのだから仕方がない。そんな考えもある。 律「じゃ、帰るか」 唯「帰りどこかよってこーよ」 普段の帰りみたいな下校でもそれも今日でおしまい。 結局最後もムギのお菓子とティーセットにお世話になった。 梓「あの!」 律「ん?どしたー?」 梓「明日で先輩方卒業してしまうので最後に一曲やりませんか?」 紬「そうね。でも唯ちゃんは大丈夫なの?」 律「そうだな。ギー太じゃなくてもいけるか?」 唯「無理です」 律「さらっと言うな!さらっと!」 澪「なら唯はその分歌って頑張るしかないな」 律「良かったな澪しゃん歌わないで」 澪「やかましい」 音楽室はこういう時にありがたい。梓は自分のムスタング。 私と律とムギは音楽室の楽器を借りて唯は声の調整をして演奏が出来る準備が整った。 律「じゃー言い出しっぺの梓。何やるか決めてくれ」 梓「そうですね・・・じゃあふわふわ時間で」 律「じゃあ行くぞワンツースリー」 下校 律「いや~ひどかったな~」 梓「最後の思い出が・・・」 紬「今度新しいギター買ってあげるから」 梓「ホントですか酷い!?」 紬「嘘。現金な子ね」 梓「ガーン!」 唯「よしあずにゃん!私がアイスを奢ってあげよう」 律「アイスくらいならファーストフード食った方が得だ!行くぞ唯隊員!」 唯「了解りっちゃん隊長」 最後までお世話になったファーストフード店に行く。 私の財布は軽いのに唯や律はどこからお金を調達してくるのだろう。 そんな事を考え私と梓とムギは後を追う。 はっきり言ってムギが全部奢ってくれた。 私と梓は何でも頼んで良いとは言え奢られる身としてはやっぱり謙遜してしまう部分があった。 その割りに唯と律は喜んでメニューを片っ端から頼んでいった。 それでもムギはニコニコして気にせず諭吉1人で会計を済ました。 紬「私、皆に奢るのが夢だったの~♪」 律「ありがとうムギ様!」 唯「ムギちゃんありがとう!」 澪「ありがとう」 梓「ありがとうございます」 紬「いいのいいの♪明日は卒業式だもの♪」 ムギほど心が広い人は多分この先会うことないと思う。 それにしても唯と律の奴はこんなに注文して食べきれるのか? 私と梓とムギが協力しても結構食べきれるかわからない量である。 最悪持ち帰りにすれば良いのだがこのメンバーはそういったちまちましたことをしないと思う。 紬「ごちそうさま」 律「・・・・・」 唯「・・・・・」 梓「・・・・・」 澪「・・・・・」 結論からして律と唯の胃は早々にして埋まった。 正直、ちまちま食べてた私と梓の方が食べた気がする。 それを上回るのが知らない間に完食していたムギだ。 結構の量があったのに私達が揉めてる間に食べきった。そんなところだろう。 律「それじゃ私達はこっちだから」 唯梓「ばいばーい」 紬「また明日」 また明日・・まるで明日が普通にあるような挨拶。 でも実際は明日にサヨナラな挨拶なのかもしれない。 律「それじゃ澪。また明日な」 澪「ああ。また明日」 私もつい使ってしまった。でも幼馴染みなら当たり前かなって思う。 卒業式は思ったより苦痛な行事と誰もが思う。私もその1人である。 のろのろ歩いて前で長ったらしい話を校長、市長と言ったただ偉い人が話す。 その間ただひたすら黙って、姿勢を正してないといけない。それが私にとっての苦痛だった。 律「卒業・・しちゃったな」 唯「卒業しちゃったね」 律「よっしゃー皆ではしゃぐぞー」 唯紬「おー!!」 梓「澪先輩ちょっと」 澪「・・・・」 空き教室 梓「今から唯先輩連れてきますから告白してください」 澪「梓は容赦が無いな」 梓「私の仕事も辛いですよ」 考え方に寄れば梓の方が私よりはるかに辛い仕事をする。 けれど梓には振ったあとの悲しみは憂ちゃんが支えてくれる。 しかし私の場合、支えてくれるくれる人がいない。そのままみんなのところに戻る。 もし、成功したら仲良くみんなのところに戻れる。ただ、ダメなら・・・ ガラッ 唯「澪ちゃーん!」 澪「唯・・・話があるんだ」 当たって砕けろの告白だが、先の見えてる告白は悲しいものだ。 インサイダー取引のような良い結果が見える。なんてことはない。 これからの結果はただの振られに行くものだから。 ファミレス みんな「かんぱーい!」 律「にしてもみんな大学受かってよかったよ」 澪「お前が言うな」 唯「でも、またみんな一緒だね」 紬「今度は先輩がいるのね♪楽しみだわ」 律「ティータイムも出来るかわからんよな」 それから結構みんなで楽しんだ後、お開きとなった。時刻は8時。 唯は教室に忘れ物したと言って学校に行った。私は1人で帰ると言いみんなと早々別れて唯を追った。 夜の学校は静かであるのは鉄板みたいなもの。たまに警備の人が通るくらいで後は無人空間である。 一旦教室で梓達と合流して悲しい作戦がスタートした。 まず梓が音楽室に入っていった。 中に唯がいるのは追いかけた私が確認済みだった。しばらくの間憂ちゃんと壁にもたれて立っていた。 ちょっとして梓が憂ちゃんを呼んだ。後は私が慰めるだけの仕事。 全てがうまくいく。そう私と梓達は思った。 ガチャン 何かが割れるような大きな音がして私は思わず音楽室に入った。 中は梓と憂ちゃんしかいなかった。ただ、2人とも窓から下を見ていた。 憂ちゃんは頭を抱えてしゃがみこんだ。何が起きたというんだ? 梓「澪先輩!唯先輩が・・唯先輩がぁ!!!」 澪「落ち着け梓!何があったんだよ!?」 梓は全く落ち着けられずにただ窓を指した。 私は窓の外を見る。・・・・・・唯は倒れていた。 数ヶ月後 唯「おはよーあずにゃん」 梓「もう!唯先輩起きるの遅いです!」 唯「あずにゃんが起こさなかったのがいけないんだぞー」 梓「はやく大学行く支度してください!」 憂は自分のせいだと言い自殺した。唯先輩はショックで大学の入学式を休んでしまった。 でも、私が代わりに憂の代わりに尽くす事にした。 始めの内は唯先輩は全く相手をしてくれなかった。が、次第に心を開き始めて今に至っている。 澪先輩は会いたくないのか、連絡しても返事が来ない。 ただ唯先輩とは取っている。なんか羨ましい。 唯「それじゃあずにゃん行ってくるね」 梓「私も行きますよ!高校生ですから・・」 ここは私と唯先輩で借りたアパート。旧唯先輩の家は今は違う誰かが住んでいる。 でも私には唯先輩がいればいい。ただ、この頃不安な事がある。唯先輩の帰りが遅い事だ。 大学生なら当たり前なのかもしれないが4月の頃は私のために早く帰ってきたことに嬉しかった。 私も早く帰ってくる度夕食も豪華になっていた。 しかし、この頃は帰宅時刻が遅いので豪華な食品を作っても7割くらいな味に成り下がってしまう。 唯「ただいまー」 梓「唯先輩遅いですよ何時まで出歩いていたんですか?」 唯「デートだよ。澪ちゃんとデートしてきたんだよ」 梓「それはもちろん交流としてですよね?」 唯「I LOVE YOUだよ」 梓「唯先輩には私がいるじゃないですか?私じゃダメなんですか?」 唯「私は澪ちゃんが好きなんだよ」 唯先輩は私の耳元で囁く。あれだけ私の事が好きって言ってくれたのに・・ 何で今頃になって澪先輩なの? 梓「私じゃ・・私じゃ澪先輩の代わりになれないんですか?」 唯「あずにゃん」 唯先輩が私を抱きしめてくれる。そして私の自慢のツインテールをほどく。 はらりと髪がストレートになる。澪先輩程自慢にならないが綺麗な髪だと思っているストレートな髪。 唯「もういいんだよあずにゃん」 梓「唯先輩何言ってるんですか?」 唯「疲れたでしょ?」 梓「私は疲れてなんかいません。唯先輩がいれば元気百倍です!!」 そんな突然な別れなんて唯先輩は勝手過ぎる。いつも勝手に抱きついてきて勝手に別れを告げる。 本当に勝手過ぎる! 唯「もう・・いいよ・・・あずにゃん」 唯「いや・・・」 澪ちゃん 翌週 澪「ほら、起きろよ唯」 唯「ええ~まだ眠いよ~」 澪「起きないとキスするぞ」 唯「じゃあおねが~い」 現在は秋山澪と平沢唯は恋人だ。 今も・・・この先も・・・ずっと・・・永遠に・・・ 澪「唯、大好きだぞ」チュ おわらす 解説 謎が多い話になったけど簡単に説明すると 唯転落事故→病院で澪「お前らのせいだ」と言って梓達を追い返す→唯、目を覚ますものの記憶の混乱→ 混乱してる間に澪は梓になりきり付き合う→朝、家では制服、学校に行く振りして一旦家に帰宅→ 夕飯の準備をして澪になって大学に行く 家では梓 大学では澪 梓達は平沢家で住んでる。 こんなもんか 初出:2- 212 名前 コメント すべてのコメントを見る 戻る TOP
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梓「あっ、澪先輩こんばんは 今お時間大丈夫ですか?」 澪『うん、もちろん 待ってたよ梓』 先輩たちが高校を卒業した後 その寂しさを埋めるかのように毎晩澪先輩に電話することが 私の日課であり一番楽しみな時間になっていた 澪『梓も明日からいよいよ高校三年生か~』 梓「ふふっ 澪先輩そんなしみじみした言い方してるとお婆ちゃんみたいですよ」 澪『むむっ‥ うら若き乙女を捕まえてそういうこと言うかーこの後輩は』 梓「えへへっ ごめんなさ~い」 澪『はははっ 冗談は置いといて軽音部の方はどう? とりあえず4人そ 梓「もちろん軽音部の部長として皆を引っ張っていけるよう頑張りますよ!」 澪『うおっ‥! う、うん 梓がそれだけ元気なら心配ないかな』 梓「任せてください! うふふん♪ それに私にはちょっとした秘策があるんです」 澪『へ、へ~ どんな?』 梓「それは澪先輩にはヒミツです♪」 澪『そ、そっか~ でも期待してるぞ』 梓「はいっ!」 澪(どうやら梓、ちゃんと新入部員の勧誘については色々考えてるみたいだし心配ないかな) 澪(え? 秘策って新入部員勧誘のことだよな? ま、まさか梓に限ってあのこと忘れてるわけ‥ないよな!うん!) ~翌日~ 梓『澪先輩どうしよ~‥! 部活は4人いないと廃部になっちゃうの忘れてた~‥!!』 澪(ま さ か の 予感的中‥!) 梓『澪センパイ私どうすれば~‥』グスン 澪「まぁ落ち着いて梓 まだ新歓ライブだってあるんだからさ これからだ」 梓『それは‥そうですけどぉ』 澪「‥‥って梓 昨日自信満々に秘策があるとか言ってたけどアレは何だったんだ?」 梓『あれは‥ ただ心機一転しようとイメチェンでみお‥ ってだから澪先輩にはヒミツなんですっ!』 澪「イメチェンて え、何?」 梓『こ、今晩はこの辺で‥! おっオヤスミナサイ!///』 澪「おいちょっと待てあず‥! 電話切られた‥!」 ピッ ポロポロリ~ン♪ 澪「あれ? いつの間にメールが‥‥ 送り主は‥憂ちゃん!?」 澪(珍しいなぁ 憂ちゃんが私にメールだなんて‥ どれどれ‥) From 平沢憂 心機一転 イメチェンした部長梓ちゃんです♪ 澪先輩そっくり By純ちゃん その本文と一緒に添付されていた写真には髪を下ろした梓が写っていた 澪「あーなるほど‥ 梓の言ってた秘策という名のイメチェンってコレか‥」 何を思って髪を下ろしたのかが私にはイマイチ理解出来なかったけれど 澪「ふふっ‥ 可愛いな 梓」 ただそんな素直な気持ちだけ思わず声になって出ていた ~数日後~ 澪『えぇっ!? 新勧ライブは一人で弾き語りになるかもしれないって‥?』 梓「はい‥実はこれまで練習といった練習あまり出来てなくて‥音合わせもまだだし」 澪『で、でも梓はそれで大丈夫なのか‥? そりゃ私みたいに緊張はしないかもしれないけど‥』 梓「そんなことないですよ~ 今から既にドキドキしちゃってますし‥ でも、仕方ないですよ」 澪『‥‥なぁ梓、今からでも憂ちゃん達に参加を頼めないのか?』 梓「えっ? で、でも本番はもう明後日ですし‥」 澪『それでもっ 鈴木さんはベース経験者だし憂ちゃんもオルガン弾けるんだろ なんとかなるよ!』 梓「でもでも‥ 今から練習してもちゃんと形になるかどうか‥」 澪『ううん、むしろちゃんとした形にならなくたっていいんだ』 梓「えっ?」 澪『確かにいい演奏をすることも大事だけど、それ以上に梓たちのバンドで力を合わせることに意味があるんだと思う』 澪『私も昔は今以上に恥ずかしがり屋で人前で演奏するなんてとてもじゃないけど無理だと思ってたんだ』 澪『でも私には支えてくれる仲間がいたんだ 唯、律、ムギ、それに梓も」 梓「私も‥?」 澪『当然 だから一人で無理だと思ったときは周りに支えてくれる仲間をちゃんと必要として欲しいんだ』 澪『憂ちゃんや鈴木さんなら梓を支えてくれる大切な仲間になってくれるはずだ! 絶対に!』 澪『それに梓には私、ううん私たちだってついてるんだぞ! まぁあまり頼りないかもしれないけど‥//』 梓「澪先輩‥ わかりました! 今からでも2人に頼んでみます!」 澪『あぁ こんな無茶な提案しといてなんだけど 頑張れ!』 梓「はいっ! と、2人に頼む前に私もあることを克服しなきゃいけませんし」 澪『ん? どうしたんだ?』 梓「あの‥えっと その、やっぱ恥ずかしいというか‥」 澪『あぁ人前で歌うことか あればっかりはやっぱり場数を踏まないと』 梓「いえそうじゃなくて ‥う、歌うのが恥ずかしいんです‥/// 澪先輩の歌詞」 澪『おい』 翌日の晩、梓からは連絡が来なかった 憂ちゃんから届いたメールによると3人で遅くまで練習を続けていたらしい いよいよ明日は新歓か‥頑張れ梓! 頑張れ新しい桜高軽音部! ~翌日~ 澪「憂ちゃんからメールで聞いたけど‥ 盛大に音外したんだってな梓‥」 梓『し、仕方ないじゃないですか! ギター弾きながら歌うのがあんなに難しいなんて‥』 梓『‥って憂からメール!? 澪先輩って憂と頻繁にメールのやりとりしてるんですか?』 澪「うん、まぁ色々情報交換したり 憂ちゃんも唯のこと心配みたいだから」 澪(とりあえずイメチェン写真とかの件は黙っておこう) 梓『ふーーーーん‥‥ なんか嫉妬しちゃいます‥」ボソッ 澪「ん? 今なにか言った?」 梓『いーーえなんにもっ!』 澪(んー なんか機嫌悪いな梓‥) 梓『そっ そりゃ演奏所々合ってなかったりで酷い有様だったんですけど‥』 梓『私が音外したとき‥‥憂と純が一緒に歌って助けてくれました‥』 澪「うん、そっか」 梓『だからその‥ 澪先輩‥ 本当にありがとうございました!』 澪「ええっ 急にどうしたんだ? 私お礼を言われるようなことなんて何も‥」 梓『そんなことないですっ! 澪先輩の言った通り、憂や純が支えてくれたから最後まで乗り切れました』 梓『私‥澪先輩に相談乗ってもらえて色々感謝してるんですから』 澪「私はただ無茶言っただけだぞ それを実行してバンドという形にしたのは梓たちなんだから」 澪「頑張ったな 梓」 梓『は‥はいっ!』 澪「それで聞くのも野暮な感じはするけど‥新入部員の方は‥?」 梓『あーそれは‥ あのっ、一人だけ部室に来てくれたんです』 澪「ほ、本当に!? 良かったじゃないか梓!」 梓『体験入部ですけど‥』 澪「Oh‥」 梓によればその体験入部の子はむったん(名称:梓)の弦を盛大に切った後どこかへ行ってしまったらしい でもその子にやる気があるなら是非入って欲しいし前々から話に聞いている謎の出没少女(名は斎藤さんだっけか?) が入部してくれるといいんだけどな ~翌日~ 梓「あ‥もしもし澪先輩? 今大丈夫ですか?」 澪『あぁ勿論大丈夫だけど ‥‥どうした梓?なんだか元気なさそうだけど‥?』 梓「えへへっ‥澪先輩にはすぐバレちゃいますね 実は何だか自信が無くなってきちゃって‥」 澪『‥‥今日も入部希望者ゼロだった それでか?』 梓「‥はい 憂や純に手伝って貰ってるのに‥なんだか不甲斐なくて‥」 澪『そんなことないぞ 梓たちが頑張ってるのは私がよく知ってる 結果がまだ出てこないだけだよ」 梓「‥やっぱり私には部長なんて無理だったんじゃないでしょうか‥」 澪『梓‥』 梓「す、すいません 何だか泣き言みたいなこと言っちゃって‥ でも私、やっぱり先輩たちがいないと‥」 澪『大丈夫だよ 梓』 梓「えっ?」 澪『どんなに離れてても 梓にはちゃんと私たちがついてるんだぞ』 梓「澪先輩‥ でもやっぱり寂しいですよ‥」 澪『確かに寂しいと思う でも私はこうやって梓とお話出来るだけでも凄く嬉しいし寂しくないんだ』 梓「わ‥私と‥?」 澪『私、卒業してから色々考えたんだ 私は軽音部に 梓のために何か出来たんだろうかって』 澪『よく考えたら梓に先輩らしいことすらあんまり出来てなかったような気がする』 梓「そ、そんなこと絶対ありません! 澪先輩は私のずっと尊敬する‥だ ‥先輩なんですから‥!」 澪『ふふっ ありがとな梓 でもそうやって悩んでる時 私を頼って梓が連絡してきてくれた』 澪『凄く嬉しかったんだぞ こんな私でもちゃんと梓の先輩として役に立てるんだって』 澪『だから私は思ったんだ 私はどんなことがあっても精一杯梓の力になるんだって』 梓「澪先輩‥」 澪『だからさ そんな1人でなんでも背負い込もうとして駄目だなんて思っちゃ駄目だぞ』 澪『私なんかでよければもっと頼ってくれていいんだ もちろん律たちや憂ちゃん達だって』 梓「さわ子先生でもですか‥?」 澪『さわ子先生は‥‥ 危ないからやめといた方がいいかもな コスプレさせられるかもしれないし‥』 梓「‥‥‥明日さわ子先生に言いつけちゃいますよ‥?」クスッ 澪『ま、待て梓! それだけは~」 梓「あははっ 澪先輩 私は部長だからってなんでも1人でやらなきゃいけない気持ちになってました」 梓「でも、そうじゃないんですよね もっと皆に頼っちゃってもいいんですよね」 澪『あぁ まずは梓のやりたいようにやってみたらいいさ そしたら皆協力してくれる もちろん私もな」 梓「はいっ! 澪先輩 ありがとうございました お陰で元気が出てきちゃいました」 澪『梓の力になれたなら良かったよ あんまいいアドバイスは出来なかったけど‥』 梓「いいえ 私のやりたいようにやってみる ちゃんと答えが出ましたから」 澪『そっか うん、まずは梓のやり方で部員確保だな! 頑張れっ梓』 梓「はいっ! ところで澪先輩の方はどうだっんですか? 大学の軽音部とか」 澪『そ‥それが‥ どうも入部希望の中に少しおっかなそうな子が‥」ガクブル 梓「へ‥?」キョトン どうやら澪先輩の方も色々大変そうです でもそんな中、私の相談を聞いてくれていること 本当に感謝してます でも‥やっぱり寂しいんですよ‥澪先輩‥ 本当は近くにいて慰めて欲しい なにか解決出来たときは頭を撫でて欲しい でもとてもそんなこと言えません だって 離れ離れになってもこうやってお話出来ること 私にとっても贅沢なくらいの幸せなんですから ~翌日~ ガチャッ バタン! 梓ママ「梓ー? 帰ってきたらただいまくらい‥」 梓「ただいまっ!!」 梓ママ「コラっ ちょっと待ちなさい 梓に」 梓「も~あとでっ!!」 カチカチ prrrrrr prrrr 梓「あっもしもし澪先輩ですか?」 澪『うおっ あ、梓いきなり電話とはびっくりする ってあれ え?』 梓「えっと もしかして今お取り込み中でした‥?」 澪『いやいや そんなことは無いんだけど‥ オホン それでどうしたんだ?』 梓「あっ、それが なんとか部員が集まったんです! それを早く報告したくて‥!」 澪『本当か! やったな~梓っ』 梓「はいっ これも澪先輩のお陰です! 本当にありがとうございました」 澪『私はたいしたことなにもしてないぞ これも梓たちががんばった結果なんだから』 梓「それでも こうやって踏み出せたのは澪先輩の言葉のお陰です」 澪「そっか ありがとな」 梓「えへへ‥ 我侭言っちゃうと澪先輩に直接この感謝の気持ちをちゃんと伝えたかったんですが‥」 澪「私も 頑張った後輩を直接労ってあげたいと思ってるよ」 梓「ホントですか!? 私っ‥その気持ちだけで嬉しいです‥!」 澪「だからさ」 ガチャッ 梓「えっ‥‥‥? う‥嘘っ? 澪‥先‥輩!?」 澪「あはは その‥ 我慢出来ずに来ちゃった♪ なーんて ギュッ! 澪「うおわっと! あ、梓!?」 梓「先輩! 先輩! 先輩! 澪‥先輩‥!」ギューッ 澪「‥‥ふふっ 直接会うのは久しぶりだな梓 元気そうでよかった」 梓「澪先輩こそっ‥! ずっと、ずっと会いたかったです先輩!」 澪「私も よく頑張ったな、梓」ナデナデ 梓「はい‥はいっ! ありがとうございます! 澪先輩!」 澪「それにしても客間で待ってたのに 梓直接部屋に行っちゃうんだもん びっくしりたよ」 梓「す、すいません‥/// で、でもいち早く澪先輩に伝えたかったから‥」 澪「うん わかってるよ」 梓「あのっ、それよりも今日の話聞いてくれませんか? 澪先輩にお話したいことが山ほどあるんです」 澪「あぁ もちろん」 それから私は今日の出来事を事細かに説明していった スミーレ勧誘の為に3人で頑張ったこと この間の体験入部の子が入部してくれたこと 他にも今まで電話で話しきれなかったこと これからの軽音部の活動方針について相談したり 澪先輩に話したいことが沢山ある一方で 私の一番言いたい事はまだ伝えられてない でもいつかは必ず伝えてみせる 澪先輩の心にまで届けたい 私の精一杯の大好きな気持ちを おわり
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修了式も終わって、3月中旬、平日の朝9時。 軽音部の部室――もとい、音楽準備室には私、ひとり。 「はぁ……」 ここに来てから幾度もため息をつき、準備室から見える運動場を見る。 さすがに新年度までは運動部も活動をしてないのか、運動場も閑散としてる。 誰もいない運動場を見ててもおもしろくないから、今度は部屋の中に視線を移す。 部室の中は、唯先輩や律先輩が置いていったものが残っている。そんな中、ある人が忘れていった人形を見た瞬間―― 「――先輩」 自然に涙がこぼれた。 信頼? 尊敬? ううん、違う。これは「好き」という感情。 最初は尊敬だった、と思う。 先輩は、何事にもひたむきに努力して、それで結果をちゃんと出している。 自分にもそういうところがあったから、私と先輩を重ねて見ていたんだと思う。最初は。 でも、いつの間にか尊敬の域を超えていた。 そして、その想いは日に日に膨れあがっていくばかり。 迷った。迷って、迷って、散々迷って……大切な人に想いを伝えられずに卒業式も終わっちゃって、3月の中旬。 答えを出せない自分を責めたけど、それで何かが変わるワケじゃないのは分かってる。 軽音部の空気を、雰囲気を壊しちゃう? 仲良しな2人の関係も壊しちゃう? 同じパートの先輩と仲が悪くなっちゃう? そんな不安が胸の中をいつも駆け巡ってた。 だから、この想いを自分の胸の奥底に押さえ込んたんだ。 何より――。 この想いが受けいられなかったら、私はどうなってしまうんだろ? すごく、先輩のことが好き、だから。 ―――――― 私物持ち帰りの期限が、今日。さわ子先生にどやさr……えーと、さわ子先生に" 私 が "きつく注意されたので、唯先輩や律先輩が荷物を取りに来るようにお願いした。ついでにムギ先輩も、澪先輩も来る。来てもらうようにお願いしたんだけど。 今日逃したら、きっと、ううん、絶対に後悔する。 今日、伝えよう。伝えて、ダメだったらそこですっぱり諦めよう! そう、決心を固めたつもりだったんだけど――振り出しに戻ってる。 と。扉を開く音がした。はっとして時計を見ると、もう10時になっていた。約束の時間。 「おはよう、梓ちゃん」 「お、おは、おはようございます!」 ムギ先輩が一番のり。 あんまりにも突然だから言葉に詰まっちゃった。涙の跡をぬぐい、精一杯元気な振りをする。 大丈夫、いつもの私。 「……梓ちゃん、どうしたの? 泣いてるの?」 元気な振りも、ムギ先輩にはお見通しみたい。 「えっと、ムギ先輩、相談したいことがあるんですけど――」 少し悩んだけど、素直に相談しちゃおう。ムギ先輩なら大丈夫。 : : : 「わたしはね、女の子が女の子を好きになっちゃいけないとは思わない。好きっていう気持ちが大切だと思うの」 「同性愛者って、一般的には日陰者みたいに思うかもしれないけど、コソコソする必要はないわ。あんまり大ぴらにするのもどうかとは思うけど」 「もし、それで逃げてく友人がいたら、その人はその程度ってことよ」 「振られても、――そんな顔しないで! もし振られたとしてよ。絶対に自暴自棄になっちゃだめ」 そして、 「澪ちゃんにも気があるみたいよ?」 という意味深な言葉をもらった。 ただ、私は背中を押してもらう人が欲しかっただけなのかも。 「先輩、ありがとうございます!」 「梓ちゃん! がんばってね!!」 「はい!」 心の中のもやが、すっきりとなくなった。 今日は、今日こそは私の気持ちを伝えよう。 「あ、そうだ。落ち着かせるためにお茶飲む?」 「でもティーカップは……」 「10個は残しておいたのよ。これは置いていくから、使ってあげてね」 「あ、ありがとうございます」 貴重なティーカップまで……わざわざありがとうございます。 ――― ムギ先輩のお茶でまったりしてると、 「ちーっす!!!!」「おはよう」 ばたん! と激しい音を立てて扉が開き、二つの人影が入ってきた。 「澪先輩! おはようございます。律先輩、もうちょっと静かに入ってこれませんか」 「かったいこと言うなよぉ!」 的を射ない答えで頭痛が痛い。肩をばんばん叩かれてるし。 「梓、久しぶり。元気にしてた?」 澪先輩が私に話しかけてくれた! 「はい!」 「いつもの事ながらこの扱いの差は……」 「ごめんな遅刻して。バカ律が――」 「へぇー? そんなこと言うんだ。言っちゃうぞー?」 なにか隠し事を知っているかのような言い方に、 「ごめんなさい律様それだけは言わないでください」 珍しく、澪先輩が一瞬で折れた。不思議。 唯先輩と憂(憂も来てくれた!)は11時ぐらいに来た。唯先輩がなかなか起きなくて大変だったみたい。 私物をまとめて、部屋を掃除して、終わった後にお茶を飲んで、たわいもない話をして。 お昼を回っておなかが空いたので、近くのバーガーショップでお昼ご飯を食べて、分かれることになった。 いつも通りもたもたしてる唯先輩は……いつもなら同じパートの私が面倒を見るけど、今日は憂もいる、とりあえずほっといて、先に片付けて外で待ってる澪先輩の元に行った。 今日こそは。 私の姿を見つけた澪先輩がこっちを向き―― 「梓」「澪先輩」 あ゙。被った。 「あ、ああああ梓から」 「い、いいいえ澪先輩から」 「じゃあ……今日、私のうちに来ないかって言おうとしたんだけど」 「あ、私も澪先輩のおうちに行きたいなぁーって思ってたんですけど」 「「……あはは」」 二人して小さく笑った。言いたいことは同じだったんだ。でも、なんで? みんなじゃなくて、私だけ? 「じゃあ、この後澪先輩の家に――」 「あっずにゃーん!!」 抱きつかれた。荷物が痛い! 「人が話してるときに抱きつかないでください!! っていうかせめて荷物を置いてください! 痛いです!!」 「そんなこといわないでよー」 スリスリしないでください! 人目があるんです!!! 澪先輩は「あーいつもの光景だなー」といったような遠い目をしていたけど、その中にちょっと憂いがあったような気がする……。 しばらく抱きつかれたけど、満足したみたい。 「じゃあねー!! あずにゃーん!! また会いに行くよ-!」 「唯先輩、一人暮らし気をつけてくださいね」 「ありがとー!」 「じゃあ、また4月に!」 「またね、憂」 『あずにゃんがデレたー』とか聞こえる。別にデレてはないと思うんだけど……。 「ごめん今日ちょっと用事あるんだ。ちょっと楽器店に」 律先輩が楽器店? スティックへし折ったとか? 「あ、じゃあ私もいく」 ムギ先輩も楽器店に。 「そうか。またな律。ムギも」 「律先輩、ムギ先輩おつかれさまです」 ぺこりと頭を下げる。ムギ先輩、本当にありがとうございます。 (がんばってね) という声が聞こえたような気がした。 澪先輩と並んで歩く。二人っきりで。 とても久しぶりで、胸がどきどきする。ただ、一緒に歩いているだけなのに。 澪先輩もどこかそわそわしている。2年間、ずっと見てきたから分かる。 律先輩には及ばないだろうけど、澪先輩の事を見てきたから。 「「…………」」 会話がない……。 ぐぬぬ。 なんか話題……あ、一つ聞きたいことあった。 「澪先輩」 「………」 「? 澪先輩?」 「……え? ごめん、なんだ?」 ぼーっとしてたみたい。 「先輩って、大学生になって一人暮らしするんですか?」 「するよ。今月末には引っ越し」 「引っ越し、しちゃうんですね」 「だから、今日にこk――はっ。なんでもないなんでも!!」 「?」 何か言いかけたような気がしたけど……。 顔を真っ赤にしてる澪先輩……かわいいなぁ。 ずっと、そばにいて、先輩を見つめていたい。 「洗濯機と冷蔵庫は知り合いからもらえることになったけど、調理道具とか、いろいろ準備する物が多くて大変なんだ」 「自炊とか大変そうですね」 「そうなんだよ。でもさ、唯が一人暮らしする思うと、いろいろ悩んでいたのがどうでも良くなっちゃってさ」 そう言って笑う。 「唯先輩、朝起きれなそうですよね」 「そうそう」 憂も、新学期始まってからしばらくは荒れそう……とも思いつつ。修学旅行ですらあんな状況だったもん。 澪先輩の家に行くまで、他愛もない話をした。 こんな時間がいつまでも続けば良いのに。 : : : いつの間にか先輩の家に着いてた。 「ママただいまー」 「お、お邪魔します!」 「お帰り澪ちゃん。あら、お友達?」 「初めまして。中野梓といいます。いつも澪先輩にはお世話になってます」 ぺこり。 「梓ちゃんね。こちらこそ澪がお世話になっております」 「ママ!」 お世話になってるのは私だけど、ね。 「あ、そうだ。澪ちゃん、梓ちゃん、何か飲み物欲しい? 甘い物もあるし」 「私持ってくよ。梓、上でちょっと待ってて」 「はい」 お言葉に甘えて、二階で待つことにした。 で、二階にきたは良いけど……どこが先輩の部屋? うーん……。 あ、「MIO」って書いてあるプレートあった。ここかな? 「失礼しまーす……」 いざ澪先輩の部屋に入ったら、膝が笑ってクッションの上に崩れ落ちちゃった。机に体をぶつけなかったのが不思議なぐらい。 心臓がバクバクしてて、部屋の中を見る余裕なんてこれっぽちもない。 でも、ここまで来たんだ。 しっかりしなくちゃ。 私の想いを伝えなきゃ! 「やって……やるです!」 自分の頬をパチンと両手で叩いて、活を入れる。 「おまたせ」 澪先輩が戻ってきた。両手でお盆を持ちながら。 「あ、持ちますよ」 「大丈夫。座ってて」 って言って、両手がふさがってるのに器用にドアを閉める。先輩が足を使ってドアを閉めてる! 意外。 机にお盆を置いて、澪先輩も畳に座った。向かい合って。 「あ、あの……!」 「梓」 「は、はい!」 突然名前を呼ばれてちょっとびっくりした。 「今から話すことは、私ではない誰かの話だからな」 「え?」 「私ではない、誰かの高校生活の話」 突拍子もないこといわれて戸惑ったけど、澪先輩は続けて語り出した。 ――とある高校に入学した一人の女の子がいました。 その子は、とても人見知りで、恥ずかしがり屋でした。 目立つことが嫌いで、極力目立たないようにして高校生活を送ろうと決心していました。 文芸部に入って、放課後は詩を書いていようと思っていました。 ですが、親友に無理矢理軽音部に入れさせられ、ベースをやることになってしまいました。 さらに文化祭ではボーカルもやって、とても恥ずかしかったけれど、みんなのおかげで無事に終わることが出来ました。 なんだかんだ言って、その女の子はとても楽しい日々を送っていました。 ――2年に上がり、その子には後輩が出来ました。同じパートではないけど、バンドの仲間が増えてとてもうれしかったようです。 小さな女のコでした。 でも、小さな女のコのギターは、バンドのみんなを驚かせるほど上手だったのです。 「私も負けないように、がんばって練習しよう!」 そう、心に決めた日でした。 ――かわいい後輩でした。 その女の子は、人見知りで恥ずかしがり屋を隠すため『格好良い人』を演じているだけなのに、尊敬されるような人柄ではないのに、後輩の小さな女のコは慕ってくれたのです。 精一杯、先輩らしくしなくちゃ。 せめて、みんなと打ち解けるまでは。 打ち解けたあとは――。 ――もちろん、みんなとはすぐに打ち解ける事が出来ました。みんな優しいから。心があたたかいから。 「私の役割はここまで。みんなと打ち解けたから」 そう、思っていたのだけど。 モヤモヤとした気持ちを持っていたのです。 もっと、“私”を見てほしい。もっと、一緒に話したい。 ――3年生になりました。 小さな女のコも2年生に上がってきました。 この頃から極力、小さな女のコとは関わらないようにしました。 何故か分からないけど、胸が苦しくなってしまうのです。 話したい。でも――。 何故か、 胸の中、奥底がちくりと痛んで。 ――恥ずかしがり屋な女の子は、大学受験を控えていました。 部活のみんなと一緒の大学に入るため、一生懸命勉強しました。 でも、モヤモヤが取れなくて、勉強に差し支えてしまう。 だから、人見知りな女の子は、自分に一つ約束をしました。 『大学受験が終わったら、小さな女のコに、私の全てを伝えよう』と。 ――無事、大学に合格して、卒業式も迎えました。 でも、私は想いを伝えられずにいました。 卒業式が終わって、私は、気づいてしまった。 私は、小さな女のコに何を残せたの? 先輩後輩という関係だけ? もっと、何か残してあげたかったのに。 そんな私を好きになってくれるのか? それでも、自分の想いを伝えたい。 一緒にもっと話をしたいんだ。 一緒に買いもの行きたいんだ。 一緒に甘いもの食べたいんだ。 一緒に――。 ずっと 一緒に いたいんだ 梓、私は――梓の事が大好き。誰よりも、この世界で一番、梓のことが。 頼りない先輩だったかもしれないけど、こんな私でも良ければ――。 「澪先輩!!!」 「!」 「なんでそんなに自分を卑下するんですか!」 思わず立ち上がって、声を荒げた。自分でもびっくりするぐらい。 「私だって、澪先輩のことが大好きです! ずっと一緒にいたいです!」 「……えっ?」 もう、止まらない。 「入ったばっかりの私を支えてくれたのは澪先輩じゃないですか! 今でも感謝してます! 澪先輩がいなかったら、私、たぶん辞めてました。 夏の合宿のときだって、初めての学祭のときだって、いつも見てくれていたのは知ってます! 澪先輩と付き合い始めて、部活の空気が悪くなったりしたらと思うと怖かったし、唯先輩と仲が悪くなったり、澪先輩と律先輩の仲が悪くなっちゃったりしたらって思って。 でも、一番怖かったのは……澪先輩に嫌われちゃうと思うと、私……私……!」 涙が止まらなくて、視界がぼやけて、澪先輩の表情もうっすらとしか分からない。 でも、澪先輩が私を見てくれていることだけは分かる。 「あ……ずさ……」 「だから、そんなこと言わないでください…。 澪先輩はあこがれの先輩で――一番好きな人です!」 伝えられた。 澪先輩へ、私の想いを。澪先輩が勇気を出して告白してくれた、その答えを。 ……目を開いたら、声を上げて泣き出してしまいそう。 「!」 今にも声を上げて泣き出しそうな私を、力強く抱きしめてくれた。 澪先輩に出会ってから、初めて。 「初めて、だね」 「はい……っ」 暖かい。 夢……じゃない。澪先輩から伝わる暖かさは。 夢じゃないんだ。 いろいろごちゃ混ぜになった感情が一気に吹き出して、澪先輩の胸の中で自分でも恥ずかしいぐらい泣きじゃくった。 たぶん、卒業式のときよりも。 いいもん。 澪先輩になら見せられる。 これも、私なんだから。 私が泣き止むと、澪先輩が私の顔をのぞき込んで、 「梓、ひどい顔してるぞ」 なんて言われちゃった。 でも、恥ずかしくはない。だって、 「澪先輩だって、相当ひどい顔してますよ」 先輩の顔にも、涙の跡が何本もあったから。 「梓、目を閉じて」 「はい」 素直に目を閉じた。この後、澪先輩が何をするのかは分かってるから。 私の首に、澪先輩のあったかい腕が回されて―― 初めてのキスは――とっても、あまかった。 「私たち、似たもの同士ですね」 「え?」 澪先輩がきょとんとしている。 「まじめで、変なところで意地張って、見栄張って、気を遣ったけどなんかずれてたり、自分に素直になれなかったり」 「恥ずかしがり屋で、人と積極的に関われなくて、だろ?」 「私、澪先輩ほどの恥ずかしがりじゃないですよ?」 「言うようになったな」 澪先輩が笑いながら私のおでこを小突いた。 こんなスキンシップ受けたのも初めてだから、いま、この時間が夢なんじゃないかな、とまで思えてくるけど――。 絶対に夢じゃない。 「梓」 「はい」 「絶対に梓のこと離さないからな」 「私も、澪先輩と一緒にいますから。絶対に離れませんから」 今度は、私から澪先輩の唇を奪いに、ね。 ――― おまけ。 ママに『今日は先輩の家にお泊まりする』って伝えて、澪先輩のお家にお泊まりすることに。 あの後、制服から澪先輩のお下がりのパジャマに着替えて(ちょっと大きかったけど、ピンク色のかわいいパジャマ)、夕飯時になるまでずっと澪先輩と話し続けた。 あ、澪先輩の胸はやっぱり大きかったです。福眼! 「澪ちゃーん、梓ちゃーん、ご飯よー」 「はーい」 「梓、いこ」 澪先輩がすぐに立ち上がって、右手を出してくれた。 「はい!」 その手をつかみ、立ち上がる。 居間に行くと、澪先輩のママがご飯を用意して待っていてくれた。 「パパは?」 「今日仕事で遅くなるって」 「そうなの」 ふと先輩の横顔を見たら、ちょっとしゅんとしてた。パパのことも大切に思っているみたい。 「あ、梓ちゃんはそこ座ってね。あ、そのパジャマ、まだ取ってあったのね」 「はい」 「かわいかったから捨てられなかったんだよ」 澪先輩らしいなぁ。 と、それ以上に気になることがあったみたい。というか、私も気になった。 「? せき……はん? ママどうかしたの?」 澪先輩も言ったとおり、ご飯が赤飯だった。 赤飯? 祝い事でもあったのかな? 「見ちゃった(テヘッ」 「………?」 澪先輩はしばらく意味が分からなそうに(私も意味がわかんなかったけど)はてなマークを頭の上に掲げてたけど、突然立ち上がって声を上げた。 「何を!?」 「梓ちゃんが泣いてる声が聞こえたからね、ケンカでもしたのかと思ってそーっと覗いてみたら、抱き合っちゃって、その上キ――」 「まままままママ!? みみみみみみみてたの!?」 「澪ちゃんにもついに彼女が出来たのね。ママうれしい♪」 「彼女って、いいの!? 女の子だよ!?」 澪先輩もそこは気にしてるみたいだけど、澪先輩のママは上手をいった。 「いいのよ澪ちゃんが幸せなら。あ、あとパパには言わないから♪」 真っ赤になって撃沈する先輩……。 「ふつつか者の娘ですが、よろしくお願いします」 「あ、え、こちらこそ……」 ――そうして、澪先輩のママ公認の恋人になりました。 ――完。 でもあれを見られたのは恥ずかしいです。 おまけ2 ※ 告白後あたりと思ってください。 ふと身長の話で盛り上がっていたり。 「私も澪先輩みたいに、身長が高くて綺麗な大人の女性になりたいなぁ」 私がボソっと呟いたのを、澪先輩はちゃんと聞いていた。 「梓、私だって梓みたいに、背が小さくてかわいい子になりたかったんだぞ」 やっぱり背が小さい方がかわいく見えるだろ? と付け加えた。そういうものかなぁ。 「でも――、今はそうは思わない」 「?」 「だって、梓をこうやって――包んであげられるから」 座ったまんま抱き寄せられた。 「!」 この人は! 歯の浮くような言葉でもナチュラルに言うし、行動に移しちゃう! いつもの恥ずかしがってあたふたする澪先輩とは大違いで、こっちがあたふたしちゃう。 たぶん私の顔は真っ赤になってると思う。たぶん。 「私も今改心しました。澪先輩のためにこの体型維持します!」 「あ……いや、幼女体型が良いって言うわけじゃ」 「いま幼女体型とか言いましたね! つるぺたとかまな板とか言いたいんですね!?」 ちょっと反撃してみる。かっこいい澪先輩も好きだけど、あたふたしてる澪先輩もかわいくて好き。 「そういうことじゃなくて……うーん、そうだ」 抱き寄せられた上、そのまま押し倒された。 「み、澪先輩!?」 澪先輩、積極的すぎる。 「こうやって、横になったときにちょうどいいだろ? ――梓? あーずーさー?」 のぼせた。澪先輩の胸の中で、私は―― 「にゃ、にゃあ……」 鳴くことしか出来なかった……
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「おはよう、梓」 眩しいくらいの陽射しと、澪先輩の声と、コーヒーの香り。 それに加えてわずかに知らない匂い。いや、昨日までは知らなった匂い。 ええと、なんだっけ、この匂いは。 「……おはようございます、先輩」 寝ぼけまなこをこすりながら挨拶を返す。あれ、どこだっけ、ここ。 「梓は意外にお寝坊さんなんだな。ひょっとして低血圧?」 「……それは……昨日、あんな夜遅くまで付き合わされたからじゃないですか」 しれっと笑顔で話しかけてくる澪先輩に、思わず口答えしてしまった。 少し遅れて、昨夜のいろんな記憶がよみがえってくる。 先輩の柔らかな感触とか。先輩の大きさとか。先輩の汗とか。先輩の……声とか。 それと……昨日初めて知った、匂い。 「コーヒーは飲める? やっぱミルクと砂糖は入れた方がいいかな」 「……それじゃ、ミルクだけ」 「かしこまりました、お嬢さま」 「もうっ、からかわないで下さいよっ」 くすくすと先輩が笑うので、つい私の顔も緩んでしまう。 重い身体を懸命に動かしながらベッドから抜け出す。 でも二、三歩ほどでよろけてしまう。 とっさに差し出された先輩の救いの手に救われる。 そして、そのまま手が私の背中に回され、ぎゅうっと抱きしめられてしまう。 再びあの匂いが漂ってくる。さっきよりも強く。 「大好き、梓」 「大好きです、先輩」 先輩と迎えた朝は、いつもと少しだけ違っていて。 とっくに秋風の香る季節のはずなのに、とってもポカポカしてて、とっても暖かかった。 ああ、ようやくわかった。正体が。 初めて知った匂い。 それはきっと、幸せという名のパフュームだ。 (おしまい)
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梓(今日も暑いなぁ)テクテク 夏期講習の後、私は、暑さに負けそうになりながらも家路を急いでいた。 梓(昨日、憂と純と行ったプール、楽しかったな)テクテク 梓(今度は澪先輩と行きたいな)テクテク 梓(あれ?あの後姿は?) 梓「澪先輩!」 澪「!?」クルリ 澪「誰?」 梓「澪せんぱぁい!私ですよぉ!」ウルウル 澪「ふふふ、冗談だよ」 澪「私が梓を分からないなんてあるわけないじゃないか」 梓「澪先輩酷いです!」プンプン 澪「ははは、そんなに怒らないでくれよ」 梓「…………」ツーン 澪「日焼けした梓もかわいいよ」 梓「…………」ツーン 澪「ほら、アイスでもおごるから、機嫌直して」 梓「……唯先輩じゃないんですから、そんなので騙されません」ツーン 澪「ごめん」 梓「……私……ショックだったんですよ」 澪「……ほんとにごめん……梓の言うこと何でも聞いてあげるから機嫌直して」 梓「ほんとですか?」 澪「うん、私にできることなら」 梓「……じゃぁ」 澪「なに?」 梓「……ぎゅってしてください」/// 澪「ここで!?」 梓「だめですか?」 澪「だ、だって道の真ん中だし……ほら、そんなことしたら暑いだろ?」 梓「……じゃぁいいです」ツーン 澪「あ、あぁ分かった!言うこと聞くから」 梓「ほんとですか?」 澪「うん、その代わり、ここじゃなくって、私の家で……じゃ、だめ?」 梓「はい!それならオッケーです」 それから私たちは澪先輩の家に行きました。 そこで澪先輩はいっぱいぎゅってしてくれました。 その時、水着の後を笑われて、またすねてしまった話は、別の機会に。
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所有DVDリスト テンプレート 悪魔の棲む家 悪魔の毒々モンスター 新世紀絶叫バトル あずみ あずみ2 Death or Love アニマトリックス アマゾネス アマゾンの腹裂き族 アップルシード APPLESEED アート・オブ・デビル アレキサンダー アルゴノーツ 伝説の冒険者たち アローン・イン・ザ・ダーク アンダーワールド アンダーワールド2 エボリューション アンデッド 遺体安置室-死霊の目覚め- 愛しのローズマリー INITIAL 頭文字D THE MOVIE ヴァン・ヘルシング 宇宙戦争 海猿 ウルトラヴァイオレット 運命を分けたザイル エイリアン VS. プレデター 80(エイティ)デイズ エス・アザーワイズ Vol.1 エス・アザーワイズ Vol.2 エス・アザーワイズ Vol.3 エス・アザーワイズ Vol.4 エス・アザーワイズ Vol.5 エス・アザーワイズ Vol.6 エス・アザーワイズ Vol.7 エス・アザーワイズ Vol.8 エス・アザーワイズ Vol.9 エネミー・ライン エネミー・ライン2 北朝鮮への潜入 エボリューション エージェント・コーディ 特別編 エージェント・コーディ ミッション in LONDON ケイト・ペッキンセール in アナザーワールド 鏡の国のアリス
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順調かと思えた澪との交際だが、私には一つ悩みがあった。 憂「澪さんがキスしてくれない?」 梓「…うん」 純「一回も?」 梓「正確に言えば、一回寝ぼけてしてくれたけど、それだけ」 憂「梓ちゃんからは?」 梓「んと、告白した時に勢いでしたけどそれっきり」 純「澪先輩、奥手っぽいからね。梓からすれば良いじゃん」 梓「澪からして欲しいんだよ」 憂「そう言う雰囲気にもっていけば良いんじゃない?」 梓「抱きついてみたり、ペロペロしたりしてるんだけど中々…」 純「ペロペロ?」 梓「あ、何でもない///」 純「あ、そうだ。もうすぐバレンタインでしょ?」 梓「うん」 純「自分にリボン巻いて、チョコと私を受け取って下さいって」 梓「純、真剣に話してるんだけど?」 純「いやいやいや、冗談じゃなくてその位しないと」 憂「澪さん鈍そうだもんね」 梓「で、でもさすがにそれは…」 憂「澪さんをその気にさせる服着てみたりとか」 純「良いね、コスプレ」 梓「あの、お二人さん?」 憂「澪さんどういうのが好きなんだろ?」 梓「うーん、あっそう言えば…」 ~バレンタイン当日 軽音部のみんなには、チョコレートケーキを作り、食べてもらった。 みんな美味しいと言って食べてくれたが、澪に美味しいと言われたのが何よりだった。 澪は、ファンクラブの人達から山のようにチョコを貰っていた。 今更だが、凄い人気者だ。 嫉妬はしなかった。だって澪は私のだから。 夕方、澪の自宅を訪れる。特別に作ったチョコとプレゼントを渡す為。 梓「はい、澪だけ特別に作ったチョコだよ」 澪「ありがとう、私からも梓に」 梓「ありがとう」 お互いチョコを交換し合い、食べる。 梓「澪のチョコ美味しい」 澪「梓のも、甘さが絶妙だな」 などとお互い絶賛しあっていると 梓「実は、もう一個プレゼントがあるんだ」 澪「え?何々?」 梓「ちょ、ちょっと待ってて」 そう言うと梓はバッグを抱え部屋を出て行った。 澪「?」 ガチャリ しばらくすると梓は部屋に入ってきた。 そこには部屋を出る前と変わりない梓が…と思ったが少し様子が違った。 猫耳を付けた梓が立っていた。 突然のことに澪は、しばし声が出なかった。 そしてぽつりと呟いた。 澪「猫耳…?」 梓「憂と純が、この格好をすれば澪が喜ぶんじゃないかって///」 恥ずかしげに梓は言う。 澪「へ?」 梓「この前コタツに入ってる私を見て猫みたいで可愛いって言ってたから」 澪「それで、わざわざ猫耳を?付けるの嫌がってたのに」 梓「…うん、澪の喜ぶ顔が見たくって///」 か、可愛い。 澪は思わず声に出してしまいそうになった。 鼓動が速くなり、顔が熱くなっていった。 梓「ど、どう?」 澪「と、とても可愛いよ、梓」 好きな人に目の前で言われて、梓は少し照れくさそうに笑った。 その照れる姿に澪の理性が吹っ飛ぶ。 そして次の瞬間、澪の体は勝手に動いていた。 澪が梓の体をぎゅっと抱きしめた。 澪「梓!」 梓「み、澪?」 そして梓がするように頬をすり寄せてきた。 いつもクールな澪からしたら想像できない行動だ。 澪「そう言えば、私からきちんとするのは初めてだな」 そういうと、澪の手が梓の首元に伸びた。その手が梓の顔を澪の口元に持っていく。 梓「んんんんっっ…」 澪はゆっくりと舌を絡めていった。 すると梓の頭はだんだんぼーっとしてきた。 ゆっくりと時間をかけたキスは梓の思考を奪っていった。 キスが終わると、梓は体中の力が抜けて倒れこんでしまった。 澪「甘いな、梓の唇は」 それは多分、さっき食べたチョコのせいだよ澪。 澪が膝立ちし、梓を見下ろす。 澪「梓、プレゼントありがとう」 そう言うと梓に覆い被さった。 憂、純このプレゼントは効果ありすぎだよ。キスどころかその先まで…… ~お風呂場 梓「背中、流そっか?」 澪「え?恥ずかしい///」 梓「今更、さっきはもっと恥ずかしい事したのに」 澪「じゃ、じゃあお願いするかな」 澪は、どもりながら答える。 さっきは理性が吹っ飛んでしまっていたが、我に返るとやはり恥ずかしい。 梓「うふ、澪ってば照れちゃって」 お互いの身体を洗いっこし、湯船に身体を沈める二人。 湯船は狭いため、二人の身体はピッタリと密着している。 梓「澪の肌、柔らかくて気持ち良い…」 澪「もう、恥ずかしいよ、梓…」 梓は、澪の首筋にキスをする。 澪「ん、駄目だよ梓…さっきかいた汗を流しに来たのに…」 梓「澪ったら、そんなに汗掻いちゃうほど興奮してたんだ」 澪「…!」 梓の突っ込みを受け、澪は真っ赤になる。 梓「ここでさっきの続きをしようか」 そう言うと、梓は即座に澪の唇を奪った。 いきなりのキスに驚く澪だったが、すぐに受け入れた。 優しくて、少し感情的なキスが澪を翻弄する。 澪「うっ…ふう」 しばらくして唇が離れお互い見つめ合う。 梓「澪、可愛いよ」 澪「梓の意地悪」 そう言いながらも澪の顔は笑顔だった。 梓「本当に今日言うの?」 澪「ああ、決心が付いた」 唯「話って何?」 律「何だ改まって?」 紬「何かしら?」 澪「じ、実は…あのその…」 肝心な所で口ごもる澪を見かねて 梓「実は、私と澪は恋人同士になったんです」 梓が恋人宣言をする。 澪「ああ、私が言おうとしたのに…」 唯「ええ~っ本当に!?」 紬「まあまあまあ!」 澪「あれ、律は驚かないんだな?一番驚くと思ってたのに」 律「実は私は知ってたのさ」 梓「ええ?何で?まさか憂や純が喋るとは…」 律「ふっふっふっ、律っちゃん情報網を甘く見るな」 律「エリ(瀧エリ)から二人が映画館デートしてたってのを聞いてたんだ」 澪「エリ…口止め料のコーラ返せ…」 律「頑張って隠そうとしてる二人が可愛くて、見守ってた」 梓「うわ、律先輩にはバレバレだったんですね///」 澪「一体何のために隠してたんだ…」 律「ところで澪、澪の口からも聞かせてくれないか?」 澪「何をだ?」 律「梓との交際宣言」 澪「わ、分かったよ」 ごほん 澪「秋山澪は、中野梓を愛しています。世界の中の誰よりも」 何でタッチ? 全員が突っ込みを入れたくなったが梓は嬉しそうに微笑んだ。 お終い 戻る
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HD DVDとは直径12cmの光ディスクのことで、DVDの数倍の容量があります。 DVDと同様に、海外ではDigital Leisureからドラゴンズレアのゲームが発売されています。 同時期に制定されたブルーレイとシェアを争っていましたが、結果は敗北に終わってしまいました。
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498 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2010/06/05(土) 00 15 18 ID UFZehTyU0 225 :どうですか解説の名無しさん:2010/06/05(土) 00 07 01.49 ID W9SApcLz 携帯Vデイリー 岡田監督“報復予告”因縁対決に火種 試合後のオリックス・岡田監督「(阪神は)やってしまいましたなあ」 「しかし・・・今日は5点差で、ファーストから(走者が)走ってしもたなあ。これは大変なこと やと思うよ」 走ったのは新人の藤川俊だが岡田監督は「コレは教育やろなあ」と阪神首脳陣をチクリ 「こっちは負け認めたってんのになあ。なんで走るんやろなあ。明日も試合あんのになあ。 これは大変よ」 どん様と関係ないネタ垂れ流してる場合ちゃうで このソースホンマか?? 500 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2010/06/05(土) 00 27 10 ID A8wIk+o60 498 おお、ちゃんと(負けた悔しさを滲ませながらフラグ立て)してるなあ(爆笑) 501 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2010/06/05(土) 00 28 25 ID PHxDWAgJ0 6月4日 (古巣のグラウンドを引き上げる監督を囲んで) ─小松が踏ん張り切れなかった 「踏ん張ったけどなあ。いきなり(Tの)エラーで走者(鳥谷)を出してしもて。それでも3回もつんやから」 ─下柳に打たれた適時打が痛かった? 「誰も打たれる思えへんやろ。でも、投手でも振ったら当たる事はあるんやから。そこまで(走者を)出しすぎたんがな。単に打たれすぎよ。」 ─走者を背負う場面が多すぎた 「(小松は)要所を締めるとかいう投手やないやろ。打たれすぎなんよ、今日は」 ─リリーフ陣も失点を重ねてしまった 「(阿南や加藤が投げたのは)ええところやのになァ。負けがつくとかないんやで。勝ちがつくのは(可能性が)あるのにな」 ─初登板の古川の印象は 「今日は大勢入ってるとこでどうか(を見た登板)やな」 504 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2010/06/05(土) 00 32 45 ID UFZehTyU0 野球chの主な反応 2 :どうですか解説の名無しさん:2010/06/05(土) 00 11 39.05 ID 1yHi2Hwb あなたちょっと前に秋山に「当てていい場面なんてないやろ!」って言ってましたよね 4 :どうですか解説の名無しさん:2010/06/04(金) 21 36 05.74 ID d8D6GUMn 自分とこのチームが2日前に7点差をひっくり返したってことを忘れてるのか 22 :どうですか解説の名無しさん:2010/06/04(金) 21 38 31.89 ID QG2HmO7/ 点差開いて手抜いた球団を食ったばっかだろ・・・ 27 :どうですか解説の名無しさん:2010/06 /04(金) 21 39 46.74 ID iMM+Yy5n すまん、赤星さんは走っていた気がするんですが? 52 :どうですか解説の名無しさん:2010/06 /04(金) 21 44 11.99 ID zcbju2Yl 金本に頭近い球を要求した相川に岡田が言ったセリフ「明日、どうなるか知らんで」 60 :どうですか解説の名無しさん:2010/06/04(金) 21 45 45.04 ID QG2HmO7/ それより五点差でノーコンの新人を最終回に出し城島の影に隠れるくらい捕手が内によって そのまま頭の上に投げるってどうなん 63 :どうですか解説の名無しさん:2010/06 /04(金) 21 46 49.00 ID 10FxRbu2 60 報復したのかよww 87 :どうですか解説の名無しさん:2010/06/04(金) 21 55 07.47 ID watwGyv4 どんでんフラグかまた 阪神時代に怒りの連敗あったよな 133 :どうですか解説の名無しさん:2010/06/04(金) 22 32 27.65 ID zcbju2Yl 金本にブラッシュボール浴びせた相川に「明日から何が起きても知らんで!!」 ↓ 横浜に6連敗してメイクレジェンドされた流れは面白かった 135 :どうですか解説の名無しさん:2010/06/04(金) 22 33 36.84 ID zcbju2Yl 岡田「明日、何が起きても知らんで!!」 翌日、横浜の桑原にプロ初完封されたんだよなw 152 :どうですか解説の名無しさん:2010/06/04(金) 22 44 43.31 ID loKf/mpl こういう事どんでんってちょくちょく言うよな 結構陰湿だなw 517 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2010/06/05(土) 10 00 04 ID iItQZhON0 498 「阪神6-2オリックス」(4日、甲子園) キレさしてしまいましたなあ‐。これは警告よ、虎に報復あるかもしれんよ。 「(阪神は)やってしまいましたなあ」 甲子園凱旋試合に敗れた試合後。三塁側ロッカーから出てきたオリックス・岡田監督が、 球場通路を歩きながら、怒気のこもった低い声で、つぶやき始めた。 「しかし…きょうは5点差で、ファーストから(走者が)走ってしもたなあ。これは大変なことやと思うよ」 怒りの標的は猛虎の走塁だった。七回裏、阪神が桧山の適時打で5‐0とし、 なおも1死一、三塁の場面。鳥谷の打席の2球目で、代走の一塁走者・藤川俊がスタートし 二塁を奪ったのだ。盗塁の記録はつかなかったが…岡田監督は、大量リードの場面での 盗塁を控える‐球界の暗黙の了解を無視されたと受け止めたのだ。 走ったのは新人の藤川俊だが岡田監督は「これは教育やろなあ」と阪神首脳陣をチクリとやった。 「こっちは負け認めたってんのになあ。なんで走るんやろなあ。あしたも試合あんのになあ。これは大変よ」 5日も同カード2戦目が甲子園で行われるため、岡田監督は、そこでの何らかの “報復”の可能性を示唆した。 完敗を認めながら、タダでは帰らぬ岡田流。怒りが思わぬ方向に飛んだが、 岡田VS猛虎の因縁対決。盛り上がってしまいましたなあ‐。 http //www.daily.co.jp/baseball/2010/06/05/0003057465.shtml